大麻がどのようにして主流になったのかについて、多くの議論がなされてきました。現在、アメリカでは大多数の州が何らかの方法で大麻使用を合法化しています。また、昨年施行された新農業法案で再び産業用大麻の栽培が認められたことを受けて、大麻コミュニティは連邦政府の禁止措置の解除に注目しているところです。
大麻合法化に関する意見で、アメリカ人の10人に6人以上が賛成しています。何十年もの間、大麻の非合法性が事実に基づかない神話を生み出し、音楽やカルト映画、メディアによってあおられてきました。今では、合法化されれば何が売れるのかを分かっている小売業者が、積極的に大麻に関する製品を作り出しています。
また、ブレンダン・ブアーズ氏はObserver誌へ「大麻には、もはや『クール』でないという重荷がないことは明らかだ」と書いています。
大麻市場が多くの層にまで拡大するにつれ、いわゆる『ハイエンド』と呼ばれるラインを通じた大麻関連のアクセサリーを販売する大手百貨店として、Barneys（バーニーズ）のような高級ブランドは大麻市場にクールさを取り戻したいと考えています。カリフォルニア州が医療用大麻を認可した最初の州となった1996年は言うまでもありませんが、ほんの2,3年前に大麻企業がマーケティングを通じて実現してきたことは、本来のハイエンドライン製品とはまるでかけ離れています。
最近の大麻ブランドは、真のマーケティング力を発揮できるだけでなく汚名を着せられた固定観念を打ち破る手助けをしています。路地裏で紙袋を漁る時代は終わったのです。
大麻は、Instagramに全面的な影響を与えました。合法化後の傾向は、ブランドがなぜ裕福な女性消費者へアピールしているかを明らかにしています。最近の世論調査によると、合法化後に大麻の使用が増加する可能性が最も高いのは、1) 女性、2) ベビーブーマー、3) 年間5万ドル（550万円程度）以上の収入がある人たちです。
ForbesのAndre Bourque氏は、大麻業界の起業家やマーケティング担当者にインタビューを行い、どのように人口統計の変化や高級品需要に合わせた製品を位置づけているのかを学びました。大麻高級ブランドの多くは、アンケートや調査によって大麻は女性の間で人気が高いことを示すデータが以前から存在していたため、Bourque氏が最も興味を持ったのは「なぜ女性消費者をターゲットにし始めたのか」ということでした。
女性消費者への販売
Kalas WareのJonathan Mafrice（ジョナサン・マフレイス）社長は、コロラド州の友人に大麻をヒントにした贈り物を買おうとしたとき、業界が女性消費者に対応できていないことに気づいたそうです。
「私は素敵な女性用のパイプを何日も探しました。一応見つけたのですが、購入した時に販売員の方は茶色の紙袋に入れてくれました。私は、すぐに女性をターゲットにした製品が市場にないことと、購買経験がいかに軽視されているかに気づきました」
数年後、Mafrice氏の会社はInstagramで映えるような、金とピンクのカラーパレットの印象的で繊細な手作りガラス器具をデザイン・販売しています。
Tommy Kelly（トミー・ケリー）氏が本物の大麻の葉で作られたジュエリーの開発を始めたとき、市場でどう展開するかを理解していなかったそうです。彼の会社であるCannaCentrixは高級大麻ジュエリーというニッチ市場を埋めることに成功しましたが、リーフ型のジュエリーであふれていると感じていました。
「リーフ型のジュエリーは、大麻の否定的な汚名を変えるのに大きな役割を果たした女性活動家や起業家たちの、新しいサブカルチャーのライフスタイルや信念を反映していない」
CannaCentrixの独自な製法で作られたネックレスやイヤリングは、誇り高い女性の大麻支持者や起業家たちのスタイルを際立たせるのに役立っています。
しかし、女性に高級品を売り込むのは簡単ではありません。すべてをピンクにすれば売れるわけではありませんし、女性の多様性はマーケティング計画において高度なケアが必要なことを意味しています。大麻製品は、あらゆる年齢層、人種、所得層の女性にアピールしますが、だからといって全員が同じ理由で購入しているわけでも、同じものを購入しているわけでもありません。2018年、女性は前年比約2倍の大麻を購入し、市場の38%を占めました。しかし、他の消費者と同様に不安を和らげ、不眠症を治療し、慢性的な痛みを管理するため大麻を購入しています。それでも、66%の女性が大麻使用に関してメディアと固定概念による汚名があるため、隠そうとさせているようです。
高級ブランドは、女性をブランドの前面に立たせることで、この傾向を逆転させたいと考えています。この動きの先頭に立っている会社の1つは、THC・CBDを注入したアルコールフリーのロゼを提供するSAKA Wineです。SAKA Wineのロゴは、女性のスキタイ戦士を通し、強い女性の精神を中心にブランドを構築しています。「女性は強い」とブランドの共同設立者であるCynthia Salarizadeh氏は語ります。
「SAKAのビジュアルグラフィックは、世界中のすべての女性の美しさを象徴しています。彼女らの美しさは、この複雑で珍しいビジュアルで讃えられているんです」
Sakaの製品発表はカリフォルニア州ナパの渓谷と森の奥深くで行われ、製品の体験がブランドの女性を鼓舞するテーマと密接に結びついていました。テーブル上に置かれた花束の香りが、ワインにヒントを与えているような印象です。繊細でありながら親しみやすい国際的な料理と組み合わせることで、主催者は料理とワインを楽しむことができる空間とすることにポイントを置いています。
「キュレーションされたゲストリストから、快適で高級なイベントスペース、食事、そしてもちろん夜のハイライトであるHouse of Saka Sparkling Roseまで、イベントのあらゆる面で贅沢が語られた」と、Vintage Wine Estatesの社長でありCannacraftの取締役でもある、House of Saka顧問のTerry Wheatley氏はイベントで上記のように語りました
高級品
Kalas WareのMafrice氏は、Kalasの高級ガラス製品とアクセサリーについて、以下のように記しています。
「ほとんどの人が気づいていないのは、すべてのガラスが等しく作られているわけではないということです。ガラス製品はすべてホウケイ酸ガラスを使用しており、ガラスのブロワーで手吹きを行っています。私たちのJayne Grinderはとても愛らしいですが、見た目を良くするために7段階のプロセスを踏んでいます。私たちが作るものはすべてカスタムメイドで作られており、よりエキゾチックで持続可能な素材を統合することに興奮しています。古いことわざにあるように、「悪魔は細部に宿る」んです」
持続可能性と独占性は、女性のための大麻高級品市場に共通する2つのテーマです。ビンテージ風の（ボング）喫煙具に焦点を当てた大麻アクセサリーのブランドであるFunctional ChinaのKathleen Briceno氏に話を聞いたところ、「高級な女性向け大麻喫煙アクセサリを提供する上で最も重要な要素は、オリジナル、限定版または数量限定、リアルビンテージ、新しい手作りのブティックスタイルなアイテムを提供することだ」と語りました。
Briceno氏にとってFunctional Chinaの精神は個人的なもので、買いたいと思う商品がこれまで市場になかったことがブランドを立ち上げた理由だと言います。
「私は15年間大麻を使用していますが、大麻を所有したことはありません。喫煙所のものはみんな私には醜かったんです。見た目は醜いキッチン用品かハードウェアのようでした。そこで、私は自分の美に対する感性を信じ、陶器のつぼみや独特のヴィンテージデキャンタ、香水のボトルを集め始め、ボングやパイプに加工する方法を学びました」
CannaCentrixのTommy Kellyは、高級品をマーケティングするためのポイントとして、Instagramの役割を強調しています。
「女性ユーザーをページに引き付けるには、全体的にすっきりと整理された外観にするべきです。ミステリー&ラグジュアリーな雰囲気を表現するため、ブラック&ゴールドをメインカラーにしました。明るい色は、ブランドのページが特定のカラーテーマである場合、女性の注目を集めます。どの色にも個性があり、ブランドの第一印象を真っ先に与えます」
大手コンサルティングファームのマッキンゼーによると、高級品購入の半数以上は、消費者がオンラインで見たり聞いたりするものに影響されていると言います。伝統的な広告形態の多くは、業界が子どもに与える影響を最小限に抑えるため禁止されているので、高級大麻製品はオンライン・モデルにさらに依存することになるでしょう。
すべての高級大麻ブランドがニッチ市場に参入するわけではありませんが、革新を推し進め、より多様で高級な消費者のニーズに応えることで、すべての人にとってより良い製品が生まれ、女性が大麻の使用を誇りに思えるような包括的環境が生まれることを期待しています。
参照：forbes
